酒を楽しむ 「酒を楽しむ」投稿募集!

たぬきちでーす。急に暖かくなったり寒くなったり。皆様、体調崩されませんように。

さて、おなじみ庫裏庵さんからまたお便りいただきました。いつもながらの味わい深い文章、ありがとうございます。

 

「かわはぎ考」

 先日の事、先輩方の九州遠征に同行し、佐賀県の呼子に投宿した。事前に宿の目の前が漁港であることを知り、愛竿の「相州長船」を持参し、餌には昼飯の生イカを取り置いて、宿に着く早々釣りを始めた。
 昨年、釣りの師匠が亡くなり、釣行団が霧散したことから、久々の釣りとなった。たとえ束の間の雑魚釣りとはいえ、沈みゆく夕陽を眺めながら、潮風に吹かれるのは何とも心地よいものだ。幸いに何匹かの魚もかかり、竿を出した面目も保てた。釣果の中にはカワハギも混ざった。「餌取り」といわれ、フグとともに、堤防釣りのやっかいものだ。皮は紙やすりのようにざらついていて厚いが、身からはがしやすく、はがした身は白く薄皮に覆われている。カワハギの名前の所以である。秋から冬にかけ、おいしさが増し、冬には、頭と内臓や皮をとり、むき身にされて、店頭に並ぶ。寄せ鍋等の具材として人気がある。
 
 北海道以南の沿岸部ではどこでも釣れるが、ある時、関西の釣り人が関東の釣り場に出かけた時の事、同行した彼女に、『関西とは、釣り方も、釣れる魚も違うから、どんな魚が釣れるのかわからない』と説明し、慣れない釣り場で苦心の後、釣り上げたのがカワハギ。彼女がスーパーで見るのと違うと言い出したので、カワハギの所以を話し、皮の無い魚はいない旨説明したのだが、なおも彼女が『何が釣れるか分からないなら、関東なら皮の無い魚だっているかも知れないじゃん。』と不服そうに食い下がるので、隣の釣り座のご婦人が噴き出すのを必死でこらえるのを横目に、次の言葉を呑み込み、その話を終わりにしたのだとか。
 
 鍋ものの他、刺身やフライや煮付けや干物など重宝な魚だ。寒くなるにつれ肥大化してくる肝を使った「肝和え」もこの魚ならではの、捨てがたい献立だ。肝に栄養を取られ、身がやや細る分を補って余りある。肝を取り出し、擦りつぶし醤油とまぜる。フグに劣らないと評される白身を、薄切りにして肝醤油をつけ食すのだ。鍋料理の相方としても良いし、何より燗でも冷やでも日本酒には、もってこいの魚だ。
日に日に寒さを増す今日この頃。もうすぐ、冬魚の旬を迎える。   (庫裏庵)

 

‥おいしそうですぅ、カワハギの肝和え‥ 呼子といえばイカしゅうまい、くらいしか思い浮かばかったですが、勿論冬の魚もおいしいのでしょうね。

しかし私が何より驚きましたのは

釣竿に名前がある(しかも日本刀のような立派な名前が)

というところでした‥‥ こちらも浅学で恥ずかしい。



コメントする


文字サイズ変更 小 中 大